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生活習慣病



 生活習慣が関係している病気のことを生活習慣病と呼びます。逆にいえば、生活習慣によって防ぐことや改善が期待できます。生活習慣病と言われている病気には、高血圧、脂質異常症、糖尿病(2型)、慢性腎臓病、高尿酸血症・痛風、肥満症・メタボリックシンドローム、脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝疾患・非アルコール性肝炎、アルコール性肝炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫)、肺がん、大腸がん、歯周病などが挙げられます。多くは進行するまで症状が現れないため、健康診断などで指摘されても、病気という実感がわきにくいです。
 しかし、放置することによってさらに深刻な病気を引き起こし、生活の質が低下し、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)や寿命が短くなってしまうという結果を招きます。複数の生活習慣病を同時に抱えていることも多く、それぞれに対応が必要です。
 当クリニックでは、総合内科専門医、循環器専門医、高血圧専門医という視点から、これらの病気の診断および治療をより専門的な視点から介入していきます。
 このページでは主に、高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症・痛風について説明しますのでご覧ください。

高血圧

高血圧とは?

 血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁に与える圧力のことで、血圧が高いことを高血圧と言います。具体的には、病院や健診で測った血圧が収縮期140mmHg以上または拡張期90mmHg(ご家庭で測定した場合はそれぞれ5mmHgを差し引いて135/85mmHg) 以上の場合、高血圧と診断します。
 わが国で年間10万人以上の方が、高血圧を原因とする病気で亡くなっています。高血圧は我が国で患者数がもっとも多い病気で、現在約4300万人(人口のおよそ3人に1人)の患者さんがいると推定されています。そのなかで適切に血圧コントロールされているのは、3割にも満たないわずか1200万人程度しかいないと言われています。残り約3100万人のなかには、①治療しても目標の血圧に達していない人(約1250万人)だけでなく、②自分が高血圧であるか知らない人(約1400万人)、③知っていながらも治療なされていない人(約450万人)もかなり含まれています。

高血圧の原因は?

 高血圧の原因は、はっきりと特定できない場合(本態性高血圧)が8〜9割とほとんどで、遺伝性素因(体質)や食塩の過剰摂取、肥満など様々な要因が組み合わさって起こります。他の病気や薬剤の使用が原因となっていることもあります。例えば、腎臓の働きが低下している場合や、血圧を調整するホルモンのバランスが崩れている場合、腎臓に血液を送る腎動脈が狭窄している場合、睡眠時無呼吸症候群、お薬(漢方薬に含まれる甘草など)の副作用などがあります。

高血圧の症状は?

 血圧が高くても自覚症状はありませんが、そのままにしておくと動脈硬化が進行して脳卒中や心臓病、腎臓病など命に関わる病気を起こすことから「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれる怖い病気です。

家庭血圧の測定方法は?

 人間の心臓は1日に約10万回拍動を繰り返していますので、同じ数だけ血圧の値も存在します。したがって、何回か測っても全く同じ値が出ることは少ないです。血圧の変動に一喜一憂して何度も測る必要はなく、原則朝(起床後1時間以内で排尿後かつ食事・服薬前)と夜(就寝前)の2機会(可能であれば1機会2回測定し、その平均をとる)測定すれば結構です。いずれも座って1〜2分間の安静を保ってから測るようにしてください。血圧計は、手首に巻くタイプだと値が不正確になりがちなので、上腕(二の腕)に巻くタイプの方が好ましいです。

高血圧の治療は?

 食事、運動、嗜好品などの生活習慣を見直して修正することで高血圧の予防や改善が期待できます。具体的には減塩、肥満の予防や改善、節酒などに加えて、運動習慣や食事パターンの見直し、禁煙が推奨されます。軽症な高血圧の場合には、このような生活習慣の見直しから治療を始めます。
 血圧を下げるお薬のことを、降圧薬といいます。降圧薬による治療は、原則生活習慣を改善しても血圧が目標までなかなか下がらない場合に行います。ただし、高血圧によって臓器に障害が生じて進行している場合は、速やかに始めることもあります。降圧薬には多くの種類があり、そのなかから患者さんの血圧値や全身状態、その他の病気の有無などによって最適なお薬を決めていきます。いくつかのお薬を組み合わせなければならないこともあります。一度始まったお薬は必ずしもずっと飲まなければいけない訳ではなく、生活習慣の改善や季節変動などで減量・中止することも可能ですし、逆に増量が必要なこともあります。お薬を飲んでいれば大丈夫というわけではないので、家庭血圧をきちんと測って今飲んでいるお薬で大丈夫であることを確認する必要があります。自己判断で薬を減量・中止することは危険ですので、必ず家庭血圧を主治医に報告してよく相談するようにしましょう。

血圧の目標は?

 高血圧の治療の目標は、先に紹介した診断のための値とは異なる場合があります。一般的な治療の目標として、75歳未満は家庭血圧で125/75mmHg未満を、75歳以上では135/85mmHg未満を目指します。合併している病気の状態によって、より厳格に下げたほうがよい場合や、逆に慎重に下げたほうがよい場合もあり、みんなが同じではないのです。

当クリニックでの高血圧診療について

 当クリニックでは高血圧専門医が、高血圧の診断から原因検索、治療まで、患者さんと相談しながら検討していきます。
 私たち高血圧専門医は、上記①(受診・治療しても目標の血圧に達していない人)のような患者さんをなるべく減らしていきたいと考えています。②(自分が高血圧であるか知らない人)、③(知っていながらも治療なされていない人)を減らすためには、健診や自宅などで血圧を測定して、自分が高血圧であることを自覚すること、放置せずに受診することが大事です。

脂質異常症

脂質異常症とは?

 高コレステロール血症、高脂血症などとも呼ばれます。血液中には色々な脂質が含まれており、LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)、リン脂質、脂肪酸などがあります。LDLコレステロールや中性脂肪の増加、HDLコレステロール低下は動脈硬化を進行させ、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳梗塞などの危険因子となります。
 脂質異常症の診断基準は、空腹時採血(10時間以上の絶食)でLDLコレステロール≧140mg/dl(120〜139mg/dlは境界域)、HDLコレステロール<40mg/dl、中性脂肪≧150mg/dlです。境界域高LDLコレステロール血症の場合は、他の高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮します。

脂質異常症の原因は?

 食生活の乱れ(過食、脂肪分や糖分の多い食事、多量の飲酒)、運動不足などの生活習慣の乱れ、加齢や遺伝素因(体質)などがほとんどですが、稀に他の病気や薬剤(ステロイドなど)によって発症することもあります。

脂質異常症の症状は?

 自覚症状はほぼなく、健康診断などで血液検査を行っていないとわかりません。しかし、放置すると血管の壁にたまって、プラークと呼ばれる「こぶ」ができ、心筋梗塞、脳梗塞など命に関わる病気を発症する危険性が上がることがわかっています。健康診断で脂質の異常を指摘された場合には、放置せずに受診してください。

脂質異常症の治療は?

 まずは原因に挙げたような生活習慣の乱れを修正することです。それでも改善が見られない場合には、お薬で治療します。すでに心筋梗塞や脳梗塞などを発症している場合は、早期にお薬を始めることもあります。お薬には種類がありますが、患者さんによって適切なお薬を選択して治療を行います。お薬を始めた場合には、数値が改善しているかの確認に加えて、副作用が起きていないか、定期的に血液検査を確認する必要があります。

治療の目標は?

 治療によって下げるLDLコレステロールの目標値は、一人一人異なります。虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳梗塞を起こしたことのある人は、より厳格に70〜100未満まで下げることが必要です。そのような病気を起こしたことのない人は、糖尿病や腎臓病などの危険因子を有するかどうか、また年齢・性別・喫煙・血圧などに応じて100〜160未満の間で目標値が決まってきます。ご自身の目標値については、個々にご相談ください。

糖尿病

糖尿病とは?

 健康な人の場合、血液中のブドウ糖が全身の細胞内に送り届けられ、エネルギー源として利用することができます。糖質を過剰摂取しても、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が過剰にならない仕組みになっています。ところが、なんらかの要因によって十分な量のインスリンが産生されない場合、または産生されても適切に機能しなくなってしまう場合、血糖値が慢性的に過剰となる病気が糖尿病です。

糖尿病の原因は?

 糖尿病は、大きく分けると1型、2型の2つのタイプがあります。
 1型糖尿病は、膵臓にある一部の細胞が破壊され、インスリンが絶対的に不足することで起こります。インスリンの絶対的不足のため、治療にはインスリンの注射が必要となります。
 2型糖尿病は、主に長期の生活習慣の乱れ(食生活、運動不足、喫煙、多量の飲酒など)が引き金となって発症します。インスリン分泌はわずかながら保たれていることが多いです。全糖尿病中の90%以上とほとんどがこちらのタイプです。

糖尿病の症状は?

 高血糖のみでは症状がないことが多いですが、糖尿病の典型的な症状として、口渇(喉のかわき)、多飲、多尿、体重減少などが挙げられます。糖尿病を放置した場合や、コントロールが悪い場合は、合併症である神経障害、網膜症(進行すると失明)、腎症(腎不全、進行すると人工透析)などを発症します。また、動脈硬化も進行して狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの原因にもなります。これらの合併症によって生活の質が低下し、寿命にも影響します。健康診断で血糖値高めを指摘された場合や、気になる症状がある場合には、放置せずに早めにご相談ください。

糖尿病の診断は?

 高血糖の慢性的な持続によって診断されます。具体的には血液検査で血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定することで診断します。先に挙げた糖尿病の症状なども参考にします。当クリニックでは院内に測定器を備えておりますので、その場で迅速に結果をお伝えすることができます。健康診断で血糖値の異常を指摘された場合、気になる症状がある場合、糖尿病で治療中の場合など、様々な患者さんが測定でき、診断や治療につなげることができます。

糖尿病の治療は?

 糖尿病の治療の目標は、血糖コントロールにより合併症を防ぎ、糖尿病がない人と同じ健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を保つことです。
 まずは食事、運動が大事です。特に2型糖尿病では、まずは食事療法、運動療法を行い、その上で必要に応じてお薬の治療を行います。1型糖尿病では、インスリンの注射が必要になります。
 糖尿病のお薬には色々な種類があり、ここ最近にも新しい薬が増えてきています。大きく分けると、飲み薬と注射薬があり、それぞれ複数の種類のお薬が存在します。体重を減少させやすいお薬もあります。糖尿病の種類や状態によって、お薬の使い方は様々ですので、一人一人個別に考える必要があります。

高尿酸血症・痛風

高尿酸血症とは?

 血液中の尿酸が過剰となっている状態です。診断のためには血液検査が必要です。尿酸値が7.0mg/dL以上の場合に診断できます。尿酸が過剰な状態が持続すると、尿酸が血液中に溶けきれなくなり結晶化して全身で悪さをします。例えば、関節に溜まって痛風発作を引き起こすこと、皮膚の下に溜まって痛風結節というコブができること、腎臓で作られた尿の通り道である尿管で結晶化することで尿路結石(尿管結石)となり激痛を伴うことなどがあります。
 また、腎臓に沈着すると、痛風腎を引き起こし腎臓の機能が低下(腎不全)します。腎不全が存在することにより、老廃物を尿として排泄する能力が低下し、尿酸の排泄が低下するとさらに尿酸値が上昇するという悪循環に陥ります。腎不全が進行すると、人工透析が必要になる例もあります。
 また、高尿酸血症の患者さんは、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満などの生活習慣病や慢性腎臓病、メタボリックシンドロームを合併しているケースが多いです。

高尿酸血症の原因は?

 遺伝的素因、食べ過ぎ、肥満、飲酒などが重なって発症します。食品に含まれるプリン体が尿酸に変わり尿として排泄されるため、プリン体の過剰摂取が原因となります。プリン体の多い食品としては、動物の内蔵(レバー、白子、あん肝など)、エビ、カツオ、イワシ、魚の干物、肉、ビールなどが挙げられます。また、プリン体の多いと言われるビールでなくとも、アルコール自体が尿酸値を上げる作用があるため、飲酒も原因となります。また、肥満になると尿酸を作りやすく排泄しにくい状態となります。

高尿酸血症の症状は?

 何らかの合併症を引き起こすまでは自覚症状が少なく、健康診断などで指摘されて初めて気がつくことが多いです。症状がないうちに早めの介入が重要です。

高尿酸血症の治療は?

 まずは生活習慣の改善が重要です。具体的には食事制限、節酒、運動などを行い、適正な体重へ近づけることです。運動としては、無酸素運動ではなく、有酸素運動が勧められています。無酸素運動は一過性の高尿酸血症を起こし、痛風発作の誘因となる場合があります。
 生活習慣の改善により、尿酸値が下がらない場合には、お薬を使います。お薬には尿酸排泄促進薬(体の外へ尿酸を出す量を増やす薬)、尿酸生成抑制薬(尿酸を作る量を抑える薬)があり、高尿酸血症のタイプによって使い分けます。

痛風の治療は?

 まずは炎症を抑えて痛みを和らげることを目標とします。解熱鎮痛薬を用います。一度発作が落ち着いても、多くの人は再発するので尿酸値を下げる必要があります。症状が落ち着いた後に、尿酸値を下げるお薬を飲み始めます。痛風は高尿酸血症が持続すると発症しますが、尿酸値がお薬によって下がる時にも発症するため注意が必要です。そのため、発作中には始めないこと、お薬は少量から始め尿酸値を見ながら徐々に増やしていくことが重要です。